『巡回中』

まだたくさんの雪に覆われているとはいえ、3月にもなると暖かい日が多くなった。僕が厳冬期に観察していたモモンガたちの、ねぐら穴から出てくる時間は、ついこの前まで、日没の時間と密接に関係があり、何時、何分まで、おおよそ外さずに把握していたのだけれど、ここのところ不規則になってきた。厳冬期に寒さをしのぐため数匹で使用していたねぐら穴からは一匹、また一匹とどこかへ転居していったらしく、今では誰もいなくなってしまった。そこで、新たな引っ越し先を見つけるべく僕は森をうろうろ。それらしい穴と、モモンガの痕跡(ウンチ)を発見。さっそく張り込み開始だ。とは言っても、まだ日は高く、日没2時間前。穴の前でのんびり待とう・・・・と思って腰をおろしたとたん、何かが僕の目の前を横切った。モモンガだ。こんなに明るいうちから遊び回っているのか?夜遊び・・・いやいや、昼遊びの実体を探るべく、しばらくあとを追っていると、穴という穴に顔をつっこんでようすをみているらしい。ひとしきり巡回を終えるころにはすっかり暗くなり、いつのまにか仲間のモモンガの姿もみえる。すると今度は、数匹で追いかけっこがはじまった。なんとも楽しそうなモモンガの暮らし。そんな暮らしをそばで見る事のできるしあわせ。シムカップの森にはついつい「にっこり」してしまう不思議な時間がながれているんです。