『帰り道』 ぼくは沢沿いに歩いて撮影するのが好きで、今日もシムカップのいつもの沢を歩いていました。ちいさな沢を上流へ。落ち葉をさがしたり。鳥の声をききながら一時間ほど歩いたのだけれど、今日はあまり撮影する事なく、「そろそろ、ひきかえそうかな」と思い、ふりかえり、こんどは帰り道。帰り道を歩き出して、ものの数分。「行き」には気ずく事の無かった景色が僕の目にとびこんできた。10分まえには気づきもしなかったその流れ。夏のひかりが、葉っぱをとおって、ちいさな流れは、森の色。ぼくは、いったい「行く道」になにをみてきたんだろう。振り返る事もなく、まえへ、まえへ、歩いていたんだな。帰り道になるまで、気づかなかった森色の流れ。たまには、立ち止まり、来た道をふりかえってみることも、きっと大切なことなんだな。森色の流れのなかで、ちいさな石の上にすわりながら、そんなふうに思いました。 |