『あるキタキツネの死』

心配していたことがおきてしまった。道ばたで倒れているキタキツネを見つけた。このキツネは撮影のために観察していたキツネではないが、僕が良く使う道で何度か見かけていたキツネだ。一番はじめに見かけた時、レンタカーに乗った観光客にエサをもらっているのを見た。そのときから、こうならないことを願っていたのだが・・・。しばらくたって見かけた時には、車に自ら近寄っていくのを目撃した。車=エサ。きっとそういうことだろう。あるとき、ぼくの車にも近寄ってきた。僕は、「車は怖い物だよ」とクラクションを鳴らす。それでも寄ってくる。車から降りて追い立てる。やっとササやぶの中へ逃げていった。そんなキツネだったので、いつか交通事故にあうのでは・・・と心配していたのだが、悲しい結果になってしまった。「エサをあげるくらい、なにが悪いんだ」と思う人もいるとおもう。きっと、「かわいい」からエサをあげたのだろう。でもその行為が、「かわいい」と思った彼らを死なせてしまう原因になる・・ということを知ってもらいたい。

人間の、その場かぎりの自分勝手な行為で、ひとつの「いのち」が終わってうということ。

僕も気が付かないだけで、自分勝手に動いてはいないだろうか。このキツネの死で、もう一度そんなことを考える時間をもつことができた。