『シマリスの展望レストラン』

ここはトマムの森の中。

遠く離れた二ケ所から、クマゲラの鳴き交わす声が聞こえてくる。いったいどんな話をしているのだろう?そんな時、一羽が鳴きながら僕の頭上を横切っていった。見上げると大きな大きな木のずーっと高い所にクマゲラの古巣があった。穴は二つ。今も住んでいるのかな?なんて思いながら見上げていると、僕の足下をシマリスが「ちょろちょろ」っと通り過ぎて行った。たまに立ち止まっては、こっちを「ちらっ」っと振り返る。何度か振り返りながら大きな木の方へ歩いて行った。しばらくして、クマゲラの古巣に何か「いる」のに気が付いた。双眼鏡で見てみると、さっき僕の足下を通り過ぎて行ったシマリスが、「ひょっこり」穴から顔を出している。よくもまぁ、あんなに高い所まで登って行ったものだ。ほお袋から草の実を取り出しては食べている。あんなに見晴しの良い場所での食事は気持ち良いんだろうなぁ。クマゲラの古巣も、シマリスにとっては見晴しの良い「ひみつの展望レストラン」だ。